本会一食平和基金から緊急支援 アフガニスタンの人道危機、フィリピンの台風被害に対し

わずかなパンを分け合うアフガニスタンの子供たち。同国では現在、人口の半数以上が飢餓状態にある(©JEN)

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、情勢不安が続くアフガニスタンの人道危機に対し1300万円、昨年12月にフィリピンで発生した台風被害に150万円の緊急支援を発表した。

アフガニスタンでは昨年8月、極めて保守的なイスラーム主義を掲げる勢力「タリバン」が首都カブールを制圧し、暫定政権を樹立した。現在、経済の混乱による人道危機が深刻化し、人口の半数以上に当たる2280万人が飢餓状態にある。ユニセフは昨年10月、年末までに5歳未満の子供の2人に1人が急性栄養不良に陥る恐れがあると警告を発した。また、紛争で親を亡くした子供たちは、家族や友人が殺害された場面を目の当たりにしたことによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)や、引き取られた先での虐待に苦しんでいる場合があり、精神的なケアが必要とされている。

こうした状況を受け、一食平和基金運営委は同国の人々への支援として、紛争地で緊急支援を行ってきたNPO法人ジェン(JEN)に対して1000万円、現地で平和活動などに取り組む一般社団法人平和村ユナイテッドに対して300万円の寄託を決定。ジェンは、東部ナンガルハル州の5地区で、女性が世帯主の家庭、妊娠・授乳中の母親がいる世帯、障害者が世帯主の家庭など、特に支援を必要とする960世帯に食料2カ月分を配布する。

平和村ユナイテッドは、同州パチラガム郡で、紛争で親を亡くした子供150人に、食料を購入するための現金を支給する。さらに、平和教育などを行うピースセンターの運営を通じて子供たちの精神的なサポートを行う。

支援金は、紛争により親を亡くした子供たちの援助などに充てられる(©平和村ユナイテッド)

一方、フィリピンでは、昨年12月16日に台風22号(フィリピン名・オデット)が上陸し、洪水や土砂崩れが発生した。また、交通や通信のインフラに甚大な被害をもたらし、人々は水や食料不足に直面した。中でも東ミンドロ州に暮らすマンギャン族は、一昨年の台風で農作物に壊滅的な被害を受け、新型コロナウイルス感染症の流行で家計を支えていた日雇いの仕事を失い、さらに今回の台風で家屋を流されるといった困難に見舞われた。一食平和基金運営委は同国のBUKID財団への寄託を決定。支援金150万円は、マンギャン族500世帯への米、雨風をしのぐブルーシート、寝具、蚊帳の支給に活用される予定だ。

昨年12月に台風22号が上陸し、甚大な被害を受けたフィリピン・東ミンドロ州(©BUKID財団)