一食平和基金中期方針 Donate-a-Meal Fund for PeaceMid-term Policy

世界には気候変動、貧困や飢餓、不平等や格差といった問題が山積しています。近年では、他者を排除・差別する社会の分断、自国優先主義の強まりによる世界の分断も目立ちます。そして、こうした問題で影響を受けるのは弱い立場にある人々という方程式はいつの時代も変わりません。

危機に対し、世界各国でさまざまな取り組みが行われました。しかしながら、自然災害の増加や新型コロナウイルス感染症のパンデミック、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など、さまざまな要因が絡み合い、社会の分断、世界の分断が加速したと言わざるを得ません。支援は停滞し、状況も悪化、支援を待つ人々を孤立させてしまいました。とくに食糧危機は深刻です。

「一乗」の教えを実践のかたちにしたのが「一食を捧げる運動」です。皆さんの一食実践によるご浄財を、国内外で困難に直面する人たちへの支援に活用しているのが「一食平和基金」です。世界的危機において、一食平和基金ではよりよい世界を目指し、さまざまな人と協働していきます。

分断を越える“つながり”を築く

今期のテーマは、近年の国際情勢、また、一食平和基金のミッション「一乗精神に基づく共生の世界の実現」を踏まえ、以下の4つのメッセージを込めました。

一乗世界の実現に向けて

一食平和基金の支援方針の柱は、一乗世界の実現を目指すことです。「一乗」とは、「大いなる一つのいのちを生きている兄弟姉妹」という仏教の世界観です。分断ではなく、つながりを築くとは、この世界のすべてのものごとはつながり合っている(諸法無我)という私たち仏教徒の見方を提示しています。

人々とのつながりを築き、協働する

私たちは社会にあるさまざまな分断や違いを越え、あらゆる人々とつながっていきます。世界の人々、地域の人々、国際機関やNGO、行政機関、宗教者……互いの強みや経験を生かして国内外の課題解決に向けて連携・協働します。

SDGsの目標達成に貢献する

「地球上の誰一人取り残さない」を理念として地球規模の課題解決を目指すSDGsは、「みんな一緒に幸せになろう」という一乗の世界に通じています。一食平和基金の支援活動を通して、SDGsの目標達成に貢献します。

未来に希望をつなげる

私たちの生き方、あり方が未来へ影響を与えます。貧困や差別といった負の連鎖を断ち切り、あらゆる人々が未来に希望をもつことができるような支援に取り組みます。

重点イシュー
教育・人材育成を軸とした貧困の解消

世界の現状

開発分野における国際社会の共通目標として、MDGs(ミレニアム開発目標、2000~2015年)、その後継であるSDGsの取り組みにより、世界の貧困問題は一定の改善が見られていました。しかし、気候変動による自然災害の増加や、各地での紛争、コロナ禍がもたらした混乱により、状況は再び悪化に転じています。

教育の必要性――貧困の連鎖を断ち切るために

経済的に困窮した家庭では、親自身が十分な教育を受けていないため、教育に価値を見いだしにくく、子どもを労働力とみなします。教育機会を与えられなかった子どもたちは知識や技術を身に付けられず、大人になっても不安定で低賃金の仕事に就くことしかできません。そして自分が親になったとき、また同じことが繰り返されるのです。これが貧困の連鎖です。

貧困の連鎖を断ち切る根本的な解決のためには、教育支援が不可欠です。子どもたちが知識や技術を得ることで、家族や社会を支えられるようになるからです。

こうした世界の現状を踏まえ、今期中期方針では、教育・人材育成に重点を置いた支援に取り組みます。また、この支援を通してSDGsの目標達成に貢献します。

座っている二人のこども