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日本に逃れた難民への理解と共感を目指して
Sep 30, 2022
一食平和基金の支援を受け、「国内難民支援に関する理解促進のための情報発信、人材育成、難民の社会統合に向けた支援」事業を実施している難民支援協会(JAR)の伏見和子です。 皆さまからのご支援に心より感謝申し上げます。
〇事業の概要 世界で紛争や人権侵害により故郷を追われた人の数は、2021年末時点で8,930万人となり、さらに2022年に入ってからその数は1億人を超えたとされています。 しかし、日本では難民の受け入れが少なく、社会に統合していくための政策に欠けている状況が続いています。2021年に日本で難民として認定された人はわずか74人。一方不認定となった人は1万人を超えており、難民認定審査が国際基準とかけ離れて厳しく行われているなどの問題があります。 その結果、日本に逃れてきた難民の方々の多くが難民として保護されず、先行きの見えない不安な状況で困難な生活を余儀なくされています。JARでは、こうした難民の方お一人おひとりに対し、医食住の支援や法的な相談に対応し、必要な支援にできる限りつなげる活動を続けていますが、こうした環境を変えるためには、社会に対し難民受け入れへの理解と共感の輪を広げていくことが不可欠です。 そのために、本事業では難民に関する情報発信を通じて、市民一人ひとりが難民を受け入れるという視点からの理解を促進し、難民支援に関わる人々を育てる人材育成を目的とする活動を行っています。
〇活動紹介1:オンラインでの情報発信 難民について社会に広く伝えるために本事業で重視しているのが、ウェブサイトやツイッターなどのSNSによる発信です。昨年全面リニューアルしたJARのウェブサイトでは、日本に逃れた難民について、初めて知る人にとってもわかりやすく解説し、また現在難民の方々がどのような状況に置かれているか、最新のレポートを更新しています。 たとえば、長く続くコロナ禍のもとで難民の方が受けている影響について、新型コロナウイルスのワクチン接種が十分に進んでいない状況があり、接種に関する情報提供や、クリニックで難民の方への接種を行った様子について、活動レポートをウェブサイトに掲載しました。 SNSでは、特にツイッターとインスタグラムでの発信に力を入れ、難民に関係する意見や情報を伝えています。2021年衆議院選挙や2022年参議院選挙の際には、各政党の難民に関する政策のまとめや立候補者へのアンケート結果をウェブサイトとSNSで発信し、難民に関する政策を選ぶという観点からも投票を考えてほしいと呼びかけました。また、アフガニスタンでのタリバンによる政権掌握や、ロシアによるウクライナ侵攻など、難民が生まれる情勢に際しては、JARの意見をSNSで即時に発信し、適切な保護を呼びかけました。
〇活動紹介2:「難民アシスタント養成講座」の開催
社会の中で難民支援に関わる人々を育てる機会として毎年開催しているのが、2日間にわたり難民について学ぶ「難民アシスタント養成講座」です。
コロナ禍によりオンライン開催となっていますが、受講生同士がオンラインで自らの思いを示す機会をつくるなどの工夫を行い、多くの参加者を全国から得ることができています。2021年秋の開催時には175名の参加がありました。
講座のアーカイブ視聴もできるようにし、参加者の都合に合わせて受講できるようにしたことも好評で、受講後にアーカイブ動画を活用して、有志による勉強会も行われました。参加者の方からは、「この講座を受けたことで、同じ想いを持っている人がいるということに勇気をいただきました。自分は何ができるかわかりませんが、小さくてもアクションをおこしていけたら」といった感想が集まりました。2022年秋にもオンラインでの開催を予定しています。
〇活動紹介3:「DAN DAN RUN チャリティラン&ウォーク」の開催
スポーツを通じて楽しみながら難民について知り、支援に向けての具体的な一歩を踏み出していただくことを目的に開催してきたイベントです。コロナ禍によりオフラインの開催を見合わせていましたが、2022年5月に3年ぶりの開催を実現できました。
実施にあたり約15名のボランティア実行委員が準備を進め、スマホのアプリを使ったオンラインでのラン&ウォークと、東京・豊洲の会場でのラン&ウォークを開催。当日の運営は28名の当日ボランティアの方々にもお手伝いいただき、約300名の参加者と、200万円の協賛金及び参加費収入を実現しました。
会場内では「難民クイズ」の解答とその関連情報をパネルで紹介し、難民の方へのインタビューや難民についてのQ&Aといったライブトークも展開。またチャリティTシャツを制作し、150枚を完売しました。
イベント運営の過程で、ボランティアの方々に日本の難民の状況や活動について伝える機会ともなっており、今後もこのような人材を生み出せるイベントとして、継続的な開催を目指していきます。
#国内難民 #難民支援 #難民支援協会(JAR)