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紛争被害女性への自立支援

Nov 09, 2022

一食平和基金さまのご支援を受け、「コロナ危機下における紛争被害女性のレジリエンス向上及び脆弱層の感染予防支援事業」を実施している認定NPO法人テラ・ルネッサンスのジャコブです。

コンゴ民主共和国中央カサイ州では、2016年8月に紛争が勃発し、以降、少なくとも1,000人以上が死亡、100万人以上が難民・国内避難民となりました。紛争の影響を受け、多くの女性が夫や家族を亡くしたり、住む場所を失い国内避難民としての生活を強いられたり、最低限の生活もできない状況に陥りました。加えて、コロナ渦で経済活動が停滞し、貧困層の生活は困窮している状況が続いています。

 

こうした状況を鑑みて、一昨年度に引き続き、昨年度も一食平和基金さまのご支援を受けて、新たに60名の紛争被害を受けた女性たちに洋裁技術の職業訓練を実施しました。洋裁訓練修了後は、開業支援を行い、それぞれが個人・または数人の小規模グループで洋裁店を営み始め、それにより全員が収入源を確保できるようになりました。また、洋裁店の運営や生計向上に向けて個別訪問、助言、販促支援などのフォローアップを行うことで、多くの女性たちが洋裁の仕事で生計を立て、自分の家族を養うだけの収入(1日1.5ドル以上)を得ることができるようになっています。

開業後の様子を伺いに現地スタッフが訪問した際にも、笑顔とお客が絶えない状況で、多くの女性が女性用ドレスや制服の生産、または修理などで、引き続き収入を得ることができており、紛争被害を受けても、自立してビジネスに励む逞しい女性たちの姿が見られました。紛争により3人の子どもを連れて国内避難民となった女性は、「仕事もなく、援助物資を受け取ることもできず、街中で物乞いをしながら生活せざるを得ない状況でした。しかし、洋裁訓練を修了し、今は街中で洋裁店を開くことができています。そして、子どもたちの食事だけでなく、今は子どもたちを学校に通わせることもできるようになりました。日本の皆様のご支援に心より感謝いたします。」と話してくれました。

 

また、コンゴではコロナによる厳しいロックダウン(都市封鎖)により、洋裁店でビジネスを営み始めた女性たちも、お店を閉めざるを得なくなり、一時期収入を失いました。そこで、洋裁店でビジネスを営み始めた女性たちに、3,000枚のマスク製造の仕事を提供し、彼女たちが作ったマスクを買い取り、緊急支援物資として病院や貧困層の方々に無償で提供しました。ある紛争被害者の女性は「自分たちの生活を支えることもでき、他の住民たちの役にも立てる。かつては、戦争と女性に対する暴力の二重苦を味わってきたけど、今、この仕事をすることは、自分の生活を支え、他者の役にも立てる、二重の喜びだ」と話してくれました。

コロナ禍における政府の規制が緩和されている一方、今年2月以降はウクライナ危機の影響で食糧、ガソリン物価が高騰し、人々の生活は厳しい状況に置かれています。しかし、紛争被害を受けた女性たちは、心の傷を抱えながらも、自らと家族のために立ち上がり、それぞれのビジネスに励んでいます。

 

一食基金の皆さまのご支援で、紛争被害にあった女性たちの自立支援活動を実施することができ、心から感謝申し上げます。引き続き、紛争の被害を受けた方々が、自立した生活を送ることができるよう、支援を続けてまいります。

 

自分の洋裁店で作業をする女性

 

マスク制作に取り組む紛争被害女性

 

洋裁訓練終了後に洋裁店を開業したグループの女性たち