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子どもたちのストーリーズ ~父親の、そして自身の生と死。苦悩・絶望。苦闘。夢。そして希望~
Oct 29, 2024
一食平和基金さまのご支援をいただき、「アフガニスタン・ピースセンター!‐戦闘で親を亡くした子どもたちに平和を!」の活動を実施いたしました平和村ユナイテッドの小野山です。ご支援に心より感謝申し上げます。
父親の、そして自身の生と死。苦悩・絶望。苦闘。夢。そして希望…何という子どもたちのストーリーズ…
活動のこと、そして子どもたちのこと、下記、ご報告申し上げます。
◆活動の背景と概要
半世紀ほどにも及ぶ紛争、荒廃の中にあるアフガニスタン。長年の紛争により暴力が身近にある環境は、紛争の結果とも原因ともいわれます。暴力や復讐、その連鎖も続いてきました。復讐心から戦闘に向かう人も多いのです。3年ほど前、タリバンが実権を握り、現地は激変しました。その後も状況は不安定で、様ざまな武装勢力、抵抗勢力も存在し、新たに復讐や暴力も起こりました。経済状況も深刻なままです。さらに女性たちは、権利・行動制限が厳しく、経済的にも、仕事への従事も困難なことなどから、深刻な影響を受けています。(女性たちが置かれたこうした状況から、本稿でも少女の参加者の写真をご紹介できません)
戦闘で父親を亡くした子どもたち。亡くした父親は様ざまな主体・勢力の戦闘員・構成員や一般市民を含んでいます。この子どもたちは、これまでの紛争、荒廃、そして現地激変の影響を強く受けています。暴力、復讐、その連鎖、精神的な苦しみ、生活困窮から守り、平和な暮らしをしてもらえるようにし、またそれを通じて、社会にある暴力やその連鎖自体をなくし、平和をつくっていく必要があります。よって、食料購入のための現金の提供と、平和教育・一般教育、精神的サポート、平和な環境の提供などを行なう「ピースセンター」の運営を行いました(2023年5月-2024年4月)。(2021-2022年にかけても実施。その必要性、緊急性は依然高く、再開)
◆戦闘で親を亡くした子どもたちのストーリーズ
そのストーリーズは、父親と自身の生と死、苦悩・絶望、苦闘、夢、希望、そしてこの活動がもたらしたものについて語っています。
◎亡くなった子どものこと:夢と、そして苦闘に満ちた人生。センターで得たもの。皆の涙。
この子どもの父親は、この子どもが赤ん坊のころ、戦争の中で殺害されました。この子どもは、母親、兄弟姉妹と、家計をやりくりするのに苦労しながら、小さな泥の家に住んでいました。しかし、この子どもは決して望みを失いませんでした。いつの日か成功者になる夢を持っていました。数多くの困難に直面しながらも、自分自身と家族のよりよい未来を夢見ていました。
しかし、ある日、深刻な喉の感染症で病気になってしまいました。医師を訪ねるお金はありませんでした。痛みに耐えようとしましたが、ただ時とともに悪くなっていくばかりでした。改善せず、話すことも食べることもほとんどできず、病状は急速に悪化しました。余談を許さない状態になり、診療所に急ぎ運ばれました。医師は最善を尽くしましたが、遅すぎました。この子どもは亡くなってしまいました。夢と、そして苦闘に満ちた人生だけを残して。家族とピースセンターの皆が、涙してこの子どもを失ったことを悲しみました。
センターの教員によると、この子どもは当初、悲しみ、恐怖・不安、混乱、孤独感、自分が親を亡くした子どもであることに責任があるものに対する怒りなどの感情を経験したといいます。しかし、センターで数か月を過ごした後、幸せで満足しているようでした。もう自分の将来に絶望を感じておらず、社会におけるアイデンティティと帰属の意識を得ていました。センターが、この子どもが感情をコントロールし、状況に適応するためのサポートとリソースを提供していたことに言及することは極めて重要です。教員は、目に涙を浮かべながら、この子どもが永遠に自分たちのもとを去ったことを語りました。
◎「正直、とても悲しい人生。最初の行動は、ピースセンターに来ること」
とても困難なのです。特に自分たちにとって。家もなく、親もなく、愛する人もなく、面倒をみる人もいないことを想像してください。自分は親戚にとって、そして社会にとってさえ、問題となりました。彼らはこの状況を利用しました。そして、彼らはあらゆる可能な方法で自分を虐待する。姉妹は教育を否定されている。自分たちは何度もまともな食べ物なしに過ごす。
正直、とても悲しい人生。
自分たちの村には親を亡くした子どもたちに基本的な生活必需品を与えることで、面倒を見てくれるたくさんの家族がいるけれども、自分たちは苦しんでいる。親を亡くしたこの子どもたちは素敵な人たちとともにいたのだけれど、彼らは悪い意図を持っていた。
人生における自分の最初の行動は、ピースセンターに来ることなのです。
◎「自分の過去が自分を定義づけることを望まない」
この子どもは父親を亡くし、孤独を感じ、悲劇に打ちひしがれていました。センターはこの子どもに、同じように喪失を経験した他の子どもたちと仲間になれる支援環境を提供しました。
当初、この子どもは父親とかつての生活の思い出にふけり、毎晩泣きつかれて寝入っていました。しかし、時が経つにつれ、センターで新しい友情を築き始め、徐々に過去を忘れていきました。センターから提供される教育を受けることができ、勉強をしたり、仲間と遊んだりして日々を過ごしました。
数ヵ月後、この子どもは自分の将来を予想し始めました。自分の過去が自分を定義づけることを望まないことに気づき、政府の学校に通いたいという望みを家族に伝えました。新しい環境への移行はチャレンジングでしょうが、この子どもは決意を固めたままでした。来るべき年月、この子どもは、道のりの障害を乗り越えながら、成功者として現れるでしょう。
この子どものストーリーは他の親を亡くした子どもたちにとって教訓となり、困難な状況にもかかわらず、私たちには、新たなスタートを切り、自分たちのためにより明るい明日を築く力があることを示しています。
◆活動完了と今後について:
現地パートナー団体とのパートナーシップが完了し、この活動は2024年4月をもって完了いたしました。子どもたちは地域の人びととともにあり、地域の人びとの力を必要としており、そしてこの活動には地域の人びとが関わってきており、今後、地域の人びと自身によるこの活動の何らかの形での継続を期待しています。
重ねまして、本活動へのご支援、本当にありがとうございました。深く感謝申し上げます。