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国連WFP協会より ~ミャンマーの今~
Mar 30, 2021
一食平和基金のご支援を受け、「ミャンマー学校給食事業」を実施する国連世界食糧計画(WFP)の公式支援窓口を務める認定NPO法人・国連WFP協会で、法人様ご支援・連携の担当をしております松本聡子と申します。
ご支援者の皆様からのWFPの活動への継続的なご支援に、心から御礼申し上げます。
今回は、刻々と変わる同国の政状への対応について皆様にご報告いたします。
2021年2月1日の軍によるクーデターを受け、ミャンマーの状況は急速に変化しており、すでに弱い立場に置かれた人々の生活に影響を与えています。
幸い現地のWFP職員(約250名)は全員無事で、毎日点呼をとって業務にあたっているとのことです。
ミャンマーでは新型コロナウイルスによる経済悪化により、クーデター以前から、多くの貧困世帯がさらなる貧困に追いやられていましたが、クーデター以降、日用品価格の上昇や、医療、銀行、その他必要不可欠なサービスが中断し、経済活動はさらに鈍化、急速に成長してきたミャンマーの脆弱な人々に打撃を与えています。
また、医師や保健スポーツ省職員も参加する市民の不服従運動の影響で、新型コロナウイルスの検査体制が崩壊したと報じられており、ミャンマーのコロナ対策は中断を余儀なくされています。
このような極めて不透明な政治・治安・経済状況を鑑み、WFPは、既存の危機対応支援の下、36万人以上の人々への支援を確保するための活動を優先的に実施しています。
WFPは、クーデター後も引き続き現地当局から支援許可を得ており、全国各地で支援物資の配布を継続しています。(ラカイン州中部19万人に食料および現金支援、ラカイン州北部10万人に食料支援および母子栄養支援、カチン州32,000人・シャン州北部15,000人に、現金支援および母子栄養支援。)しかし、ほとんどの銀行が閉鎖されたことが業務上の重要な問題となっており、現金支援をタイムリーに行うことができなくなっています。
これに対応するため、WFPは、現金支援から現物による食料支援に移行するための業務調整を行い、緊急時向けの備蓄食料の調達を開始しています。このような備蓄により、追加の支援ニーズが発生した場合にもWFPが柔軟に対応できるようになります。50万人の人々を2カ月間支援するための初期の緊急備蓄には総額1,200万ドルが必要です。
学校給食支援につきましては、2020年6月から新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために公立学校が閉鎖されており、生徒の教育、健康、栄養面での甚大な影響、そして長期的に見ると経済にも影響が出ることが予想されています。休校により子どもたちが給食を食べられなくなることは、家計にも困難をもたらします。この課題に対処するために、WFPは支援を栄養強化ビスケットの配給や、食料購入用の現金給付にシフトし、2020年には26万7,000人の児童を支えました。
新型コロナウイルスによる休校で空となった小学校の教室(タニンダーリ地区)©WFP
新型コロナウイルスの影響で、学校給食の代わりに食料購入用の現金を受け取る生徒(カチン州)©WFP Aung Myat
学校再開の計画は、現在の政治状況によって危ぶまれる可能性があり、子どもたちの将来の機会がさらに大きなリスクにさらされることになります。子どもたちの健康を維持し、家庭の経済的負担を軽減するために、WFPは引き続き休校中は持ち帰り用の配給を継続する計画です。また、学校の安全な再開に向けて、パートナーと協力していきます。WFPは今年、50万人の児童への支援を計画しています。一方、国が進める学校給食事業の拡大と戦略的枠組みに向けたWFPの技術支援については、見直しが必要となる見込みです。
なお、2020年初頭に新型コロナウイルスの影響で商用の国際航空便に渡航制限が課された際、WFPは人道支援のための国際航空サービスを立ち上げ、2020年5月10日以降、ヤンゴン(ミャンマー)、ビエンチャン(ラオス)、クアラルンプール(マレーシア)を結ぶ航空便を毎週運航、医療・人道関係者や貨物の国際輸送を担ってきました。
クーデター後、ヤンゴンの空港は一時的に閉鎖されましたが、WFPが運営する人道国際便は引き続き運航されています。
以上の通り課題は山積しておりますが、WFPはミャンマーの人々の支援を全力で実施しています。支援を必要としているすべての人々への、安全で絶え間ないアクセスを主張し続け、人道主義の原則に基づいた介入を行っていきます。また、国連や人道支援団体と緊密に連携し、優先順位に基づいて各団体に物流や通信のサービスを提供しています。さらに、市場価格、サプライチェーン、銀行サービス、航空サービスなど、現場の状況の変化を綿密に監視し、追加的な人道的ニーズにも対応できるよう準備を整えています。
ミャンマーの最も弱い立場に置かれた人々の危機が緩和し、WFPが不測の事態にも対処していけますよう、引き続き皆さまのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。