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地域の人々と取り組む栄養改善
Dec 14, 2021
一食平和基金の支援を受けて取り組んだ「マダガスカル国コミュニティ栄養改善事業」を担当した、特定非営利活動法人AMDA社会開発機構(アムダマインズ)の田中一弘です。
この事業は、2020年1月から2021年3月にかけて実施したもので、アムダマインズが同国で取り組む初めての事業でもありました。マダガスカルは世界で最も子どもの発育阻害が多い国の一つです。発育阻害とは、慢性的な栄養不足により、身長が標準よりも大幅に低くとどまってしまう状態のことを言います。マダガスカルの5歳未満の子どもの実に半数近くが発育阻害の状況にあります。また慢性的な栄養不足は、脳の発達にも影響を与えてしまいます。
事業を実施した首都近郊のアナラマンガ県アチモンジャン郡でも、調査の結果、45%の子どもが発育阻害であることが分かりました。その要因としては、4人に1人が完全母乳哺育ではなく、砂糖水などの水分を与えていることや、世帯の摂取カロリーの4分の3が炭水化物(コメ)からと、食事のバランスに大きな偏りがあることなどがあげられます。
そこで、本事業では、対象地の村の住民をはじめ、栄養や保健を担当する行政機関や現地NGO「ASOS(アソス)」とともに、子どもの栄養改善を目指した活動を行いました。具体的には、まず地域の子どもたちの栄養状態とその要因を把握し、それを地域の人たちと共有し、ともに何ができるかを考え、実践に移しました。その結果、地域の人たちが母親グループをつくり、子どもの栄養について伝え合うという活動が実施されるようになりました。
活動に参加した母親2人のメッセージを紹介したいと思います。
1) 1歳4か月の子どもの母親
「子どもの栄養に関する公的な活動は何年も前になくなってしまいました。なので子どもの成長を計測することも、栄養価の高い食事を提供する方法を学ぶ機会もありませんでした。そんな中、このプロジェクトが開始されたのを知り、早速、子どもの成長モニタリングや栄養教育に参加しました。
また、調理実習もとても楽しかったです。私たちは日ごろ、路上で販売されているような調理されたものを買ったりすることが多いのですが、子どもの栄養のためには、しっかりと栄養のバランスも考えて調理するのが重要だということが良く分かりました。そして、今後のために、地域のお母さんたちとグループを作り、活動計画も作りました。これから、調理実習などの活動を実施していくのが楽しみです。」
2) 1歳1か月の子どものお母さん
「このプロジェクトに参加したことで、子どもの成長モニタリングができるようになりました。また、子どもの月齢に応じた食事や予防接種の種類なども学ぶことができました。これからは、
毎月子どもの身長と体重を測って、成長を確認していきたいと思います。これからも、子どもの栄養を改善するために、私たち母親をサポートしてもらえるとさらにうれしいです。」
今後は、この活動をモデルとして、さらに対象地域を広げて子どもたちの栄養改善を進めていきたいと思います。
また、来年1月からは、一食平和基金の支援で「マダガスカル南部ベルーア郡における干ばつによる飢餓に苦しむ住民への医療支援事業」を開始します。マダガスカルの南部では、40年に一度という規模の干ばつに見舞われ、地域住民の約半数にあたる131万人が食料危機に陥っています。国際機関などにより食料の支援などは行われつつある一方で、医療支援が行き届かず、栄養失調から感染症などを患い、命を落としてしまうケースも少なくありせん。そこで、この事業では、医療サービスにアクセスできない村々を巡回して、診療活動を行います。一人でも多くの人に活動を届けることで、地域住民が健康を取り戻せるよう、現地NGO「ASOS」とともに取り組んでいきます。
今後とも、応援をよろしくお願いします。