温かい浄財を暖房に変えて
Sep 14, 2021
一食平和基金では、アフガニスタンにおいて特定非営利活動法人ジェン(以下、JEN)との合同事業にて、2020年に発生した土石流災害の支援活動を実施いたしました。
今回のブログでは、JEN代表からのご報告をお届けします。
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一食平和基金の支援を受け、「パルワン県チャリカ土石流災害被災者越冬支援」を実施した特定非営利活動法人ジェンの木山啓子です。
アフガニスタンのパルワン県の県庁所在地チャリカは、町の中心部からも山が見える、風光明媚なところです。2007年に日本政府外務省が日本人の渡航自粛を求める前は、私も何度も訪れました。空気が澄んで雪を頂いた山に囲まれているので、行く度に清々しい気持ちになりました。ジェンは、2002年から2017年までずっとパルワン県で活動してきたので、チャリカと言えば懐かしい気持ちになる場所です。
2002年、パキスタンから破壊されたパルワン県に帰ってくる難民の方たちが安心して定住できるように、家の再建を支援したのが始まりでした。パルワン県は、山に囲まれた平地なので、乾燥したアフガニスタンの中でも水が豊かな地域ですが、飲料水に適した水は、井戸を掘らなければなりません。その貴重な水を衛生的に使える様に、衛生教育も実施しました。また、アフガニスタン全土で学校施設は不足しているので、学校の再建もしましたし、大地震が起きた際も緊急支援をするなど、パルワン県では多種多様な支援を実施してきました。
職員も15名くらいいて、いつも事務所でみんな仲良く昼食をとって、家族の様に過ごしていました。2017年頃からは、新たな帰還民が増えてきたナンガルハル県に拠点を移し、活動してきました。
そんな故郷の様な場所で、2020年8月に大規模な土石流が発生したのです。土石流は近隣の町にも深い爪痕を残しましたが、最も被害が大きかったパルワン県では442世帯が家を失いました。
アフガニスタンは、人の気持ちがとても温かい国です。困っている人がいたら手を差し伸べます。ですが、元々あまり余裕がなかった人々は、家を失った人々を自宅に迎え入れると言っても、十分な環境を提供することはできません。やっとの思いで提供した部屋には、暖房器具を据え付けられないところもありました。目前に厳しい冬が迫る中、ジェンは、一食平和基金の支援を受けて、越冬支援を実施させていただきました。
越冬支援で配布したのは、主に、防寒着とサンダリと呼ばれる日本のこたつに似た暖房器具などです。枠組みの中に炭を入れて燃やし、枠組みの上から布団の様なカバーをかけて使うものです。
配布は、既に冬に差しかかってからでしたが、何とか雪が降りだす前には配布を終えることができました。チャリカの冬は厳しいので、人々はとても喜んでくれました。それでも、家族を失った悲しみは消えません。辛い心を抱えた冷えた体を、一食平和基金の支援で提供したサンダリで温めてもらえることはジェン職員にとっても、とても嬉しいことでした。
こうして支援を進める中、悲しいことがありました。長年一緒に働いてきたジェンの職員の一人が、土石流の犠牲になっていたことが判ったのです。生存している家族も避難していたため、最初は判らなかったのですが、配布を進める中で情報が寄せられたのです。悲しみの中、被災された方に彼女の面影を重ねて、無事配布を終えることができました。ご支援いただき本当にありがとうございました。
土石流災害の場所
配布の様子
配布したサンダリを運ぶ親子
配布後お話を聞きに行った時の様子