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災害に見舞われた人びとへの温かな支援の手

Dec 12, 2022

一食平和基金のご支援を受け、アフガニスタンでの支援活動を実施している特定非営利活動法人ジェンの、アフガニスタン事務所長代行のハミドゥラです。

アフガニスタンは、中央アジアと南アジアを結ぶ地政学的な位置にあり、内陸の美しい国です。

しかし現在、人口の半数以上が食糧難に直面し、慢性的な貧困、栄養失調、ハイパーインフレ、新型コロナの流行、失業率が過去最高となるなどの人道危機にさらされています。また、地震、洪水、干ばつ、雪崩、地滑りなど、常に自然災害に見舞われやすい国でもあります。

2020年8月に発生した鉄砲水では、34州のうち12州が被災し、中でもパルワン県チャリカ地区の被害は深刻で、422棟の家屋が全壊し、死者は159人に達し、犠牲者の中には子どもも多く含まれていました。この地区は、2002年からジェンが様々な支援活動を実施し、ゆめポッケを受け取って学校に行けた子どもたちも多くいる地域でもあります。

調査の結果、被災者の方々が厳しい冬を乗り越えられるように、ジェンはサンダリという暖房器具を提供することにしました。これは一食平和基金様の寛大なご支援のお蔭で可能となりました。サンダリは、日本のこたつに似た形の炭を使った暖房器具で、1回炭を入れると10時間近く家族全員が暖まることができます。この地域の人びとにとって身近で、使い勝手がよく、地域経済にも貢献できます。家屋全壊の422世帯のうち、基準に従って特定した最も脆弱な79世帯に配布することができました。

家族5人を亡くした被災者の一人、アブドゥル・ワキールさんは次のように語りました。「私はNGOや政府、民間から現金、食糧、物資など多くの支援を受け、今回はサンダリや暖房器具を提供していただきました。この困難で忘れがたい時期に、私やチャリカの被災者を支援してくれたジェンと他のすべての人びとに感謝しています。」

別の被災者のハリダさんは、配布後に「私たちは生きていくために必要な食料支援を受けましたが、この厳しい冬を生き延びるためには、サンダリやその他の暖房器具がなければ不可能だと思います。ジェンと一食平和基金様のタイムリーなご支援により、家族が暖かく、冬を乗り切ることができることに感謝します。」と話してくれました。

↑パルワン県チャリカ地区での鉄砲水の被災地調査中のジェンチーム

↑2020年129日、暖房器具の配布の様子

↑2020年129日、チャリカ地区の配布会場

↑2020年1217日、配布後のモニタリングでサンダリを使用しているハリダさんとその夫、娘さん

2022年622日、アフガニスタン中南東部でマグニチュード5.9の地震が発生し、パクティカ県、ホースト県が被災しました。パクティカ県とホースト県のみで770人が死亡、さらに1,500人が負傷したと推定されています。一食平和基金様のご支援を受け、ジェンはホースト県スペラ地区で20世帯に28,000アフガニー相当の多目的現金を配布することができました。

被災者の一人、グル・ハン・ジャンさん(51歳)は次のように述べました。「このような厳しい状況の中、私たちに手を差し伸べてくれたことに大変感謝しています。この現金での支援により、再び子どもたちが望むような食べ物を与えることができるようになるでしょう。私はジェンのスタッフから現金28,000アフガニーを受け取りましたが、これで私の家族の基本的なニーズをすべてまかなうことができます。あなただけでなく、私たちを支援し、支援金を送ってくれたすべての日本の人びとに、どのように感謝を表せばよいかわかりません。」

配布会場で現金を配布している時、一人の被災者が走り出したのを見つけた私は、間違った人に配布したのではないか、何か悪いことが起こったのではないかと思いました。そこで私はその人に、「止まってください。なぜ走るのですか」と尋ねました。何か悪いことがあったのですか?IDを確認させていただいてもいいですか?と言うと、その人は私にこう言いました。「私は偽の被災者ではありません。私が走った理由は、家にいる母が心配だからです。母の具合は日々悪くなっているのに、治療費がないため医者に連れて行くことができませんでした。今いただいたこの現金で一刻も早く母を医者に連れて行き、治療を受けさせたいのです。」

ジェンは、被災された方々の多様な問題に応えられる多目的現金の配布という方法を、今後の支援活動でも状況に応じて活用していきたいと思っています。

↑ホースト県スペラ地区で、自宅前に立つ負傷者

↑ホースト県スペラ地区で現金を受け取った被災者の方

↑ホースト県スペラ地区で調査を行うジェンのスタッフ

災害に見舞われたアフガニスタンの人びとと家族が困難な時を過ごし、必要とするときに、その都度寄り添い、温かな手を差し伸べてくださる一食平和基金の皆さまに感謝いたします。本当にありがとうございます。これからも、困難な状況にある人びとが自立した生活を送れるよう現場で微力を尽くします。