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ディンべレンゲ地域における紛争の影響を受けた脆弱層によるコミュニティレジリエンス向上プロジェクト
Sep 12, 2024
私の願いは紛争を終わらせること:コンゴのトゥアカジカさんからの手紙
こんにちは!私はカンバ・トゥアカジカです。
私は、元々コンゴ民主共和国の中部にあるバクア・カニンガ村に住んでいました。しかし、紛争が始まってから、当時2歳と0歳の赤ん坊を抱いて国内避難民となり、劣悪な環境での避難生活を強いられました。そして、今住んでいるバクア・ンダエ村にやってきました。ここは、元々住んでいた村とは対立している村ですが、兄が住んでいたので、この村で避難することになりましたが、兄も仕事がなく、支援を受ける前は十分な食べ物もなく、最愛の子どもを栄養失調で亡くしました。
その後、私は石鹸作りの技術を学び、石鹸を作って家族を養っています。今は、自分の子供だけでなく兄の生活も私が支えています。紛争をしている隣のバクア・カニンガ村には、友人や知人が今もたくさん住んでいます。私の願いは紛争を終わらせることです。そして、昔の仲間とも仲良く暮らせる未来を夢見ています。日本から、私のことを支援してくれて本当にありがとうございます。皆様に神様のご加護があることを心よりお祈り申し上げます。
一食平和基金の支援を受け、『ディンべレンゲ地域における紛争の影響を受けた脆弱層によるコミュニティレジリエンス向上プロジェクト』事業を実施している認定NPO法人テラ・ルネッサンスの小川です。
コンゴ民主共和国中央カサイ州ディンべレンゲ地域では、2016年以降の紛争により、多くの人々が命や生活基盤を失い、特に女性や子どもへの被害は深刻です。紛争が落ち着いた現在も、貧困と武力衝突のリスクに晒されています。
そこで私たちは、紛争の影響を受けた人々、特に女性と子どもたちの命と暮らしを守ること、地元の人々の力で様々な困難とリスクに直面しながらもしなやかに適応するコミュニティのレジリエンス向上を目指し、2023年4月〜1年間、以下の活動を実施しました。
①診療所の運営改善と医療サービスの向上
紛争の影響で十分な医療を受けられない状況を改善するため、診療所スタッフへの研修や医薬品提供を行い、患者388名に無償でマラリアや腸チフスなど治療を提供しました。
特に乳幼児や妊産婦など脆弱な人々も含め、治療を受けた全員が完治し、人々の命が守られました。また、研修を通して診療所の運営管理体制が改善され、行政からの支援に繋がるなど、持続可能な医療体制の構築に貢献しました。
②市場の運営体制強化による安全な取引環境の整備
紛争の影響で商業活動も停滞していた村で住民が安全に売買できるよう、市場の運営・管理に関する研修を行いました。
その結果、民主的な運営体制が確立され、市場の持続的な運営基盤が整ったことで、毎日1000人以上が利用するようになりました。さらには、市場が商品売買だけでなく紛争で傷ついた人々の交流の場にもなっていることに加え、対立している村の人々も市場を利用でき地域の融和にも貢献するなど、嬉しい波及効果も見られました。
③持続可能な油ヤシの加工技術・石鹸作りの技術による生計維持支援
紛争の影響を受けた人々の生活再建のため、油ヤシを活用したパーム油生産・石鹸作りで持続的に生計が維持できるよう、技術的な研修や製品の販促支援、ビジネスの助言等を行いました。
治安の悪化・材料代の高騰など困難がありつつ、60名全員が生計を維持できました。また、グループ内の相互扶助を促進したことで、食事の提供や子どもの世話など、支援対象者同士の助け合いの精神も育まれました。
このように、一食平和基金の皆様からの継続的なご支援のおかげで、一定の成果が見られました。温かいご支援に心から感謝申し上げます。
同地域では、今も村落間の紛争が断続的に続いており、人々は不安定な中での暮らしを強いられています。このような状況下でも、紛争の被害を受けた方々が安心して生活できるよう、支援を継続してまいります。