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妊婦訪問をきっかけに、自信をもって、ストレスなく子育てに取り組めるようになりました スザタさんからの手紙

Nov 30, 2024

こんにちは!今年2人目を出産した、ネパール出身のスザタです。
妊娠20週の頃、職場の同僚で、シェアと一緒に活動しているススマさんとソナさんから、シェアの保健師と一緒に妊婦訪問に行っても良いかと話がありました。私は妊婦健診のようなものだと思い了承しました。当日、彼女たちはやってくると、市役所から届いた書類の説明から、母親のメンタルヘルスの話、予防接種、赤ちゃんの成長の記録を残すことの大切さまで、妊娠に関する様々なことを説明し相談に乗ってくれました。帝王切開での出産を予定していたので、費用は通常の出産よりも高く、一部は出産育児一時金で賄えるものの、残りは支払う必要があると病院から聞いたと伝えました。すると、私の給与や健康保険の加入状況から、申請すれば、高額療養費制度により自己負担額を抑えられると教えてくれたため、最終的に最低限の費用で出産できました。

言葉の壁により多くの情報を理解することが難しい私と夫にとって、この情報は出産に伴う経済的ストレスを大幅に軽減してくれました。この妊婦訪問という機会を得たことで、自信を持って、ストレスなく子育てに取り組めるようになりました。Thank you!
 

一食平和基金のご支援を受け『保健ボランティアと共に取り組む外国人母子の保健サービスへのアクセス改善事業』を20239月から実施した、シェア=国際保健協力市民の会の山本裕子です。

この事業では、東京都内のネパール人を中心とする外国人妊婦や母子が、保健医療サービスに適切にアクセスできることを目標に、外国人妊婦や母親が母国語で健康や保健サービスに関する必要な情報を得られ、当会のネパール人保健ボランティアとシェアのサポートで支援につながれるよう、様々な活動を行いました。今回は、その中から、『母子保健サービスに関する情報提供と相談対応を行う妊産婦訪問活動』についてご報告します。

外国人妊婦は、そもそも日本の母子保健サービスを知りません。そんなネパール人妊婦が、産婦人科で母子手帳をもらいに行くように言われて役所や保健センターに行くと、母子手帳とセットで妊婦健診予診票を含むたくさんの書類をもらいます。来日して間もないなどの背景により、ネパール人妊婦は日本語があまり話せない状況で妊娠・出産を迎えることが多いため、妊婦よりも日本語が分かる夫が同席して窓口対応をすることになり、妊婦までなかなか情報が届きにくい状況にあります。

 

私たちは、保健ボランティアと当会スタッフ、医療通訳者とともに妊婦宅を訪問すると、母子保健サービスや産前産後で必要な手続き、健診や予防接種の説明などを行います。そして、妊婦が役所や保健センターからもらった書類を広げて、重要な書類とそうでない書類に分けて説明をします。また、母子手帳から妊娠経過を確認しつつ体調や困っていることなどの相談に乗り、必要があれば保健センター等に橋渡しを行います。妊婦が妊婦面接を受けた後にもらうことができる、妊娠中や産後に使えるクーポンの質問も多く、自治体で運用に違いがあるため説明が結構大変です。

写真2)妊婦に出産後の手続きについて保健ボランティアが説明をしている様子

今年度は、通常のネパール人保健ボランティアが周囲で発見した妊婦宅への訪問に加え、6月に開催した『ネパール人妊婦対象のオンライン母親学級』に参加した15名の中の2人にも妊婦訪問を行いました。

写真3)オンライン母親学級で当会の助産師が通訳者をと共に講義を行っている様子

6月の母親学級では「たくさんの情報を一気に得て不安になった」と話してくれた妊婦を訪問した際は、「日本語がほとんど話せないため義理の姉に妊婦健診についてきてもらうなど頼っていたが、彼女が帰国することになり、今後が心配」と涙する場面もありました。妊娠中や産後の相談先として保健センターの存在を伝えたところ、後日すぐに相談に行くなど、妊婦が保健師とのつながりを得ることができたことは訪問の効果だと感じました。

写真4)オンライン母親学級に参加してくれた妊婦宅で相談に乗っている様子

今後も、妊婦が正確な情報を得ることができるよう、そして地域で妊娠期から保健センターの保健師等の支援者と繋がり、相互理解を深めながら、地域で切れ目ない支援の充実や、生まれくる未来の子どもの健康にもつながるように、活動を継続していきたいと思っています。