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カンボジアの仏教、文化の復興と発展を願って宗教省仏教研究所ソクニー所長からの手紙

Apr 08, 2025

<所長からの手紙>

こんにちは、カンボジアの宗教省仏教研究所の所長のソクニーです。今日は皆さんにカンボジアの仏教と仏教研究所についてお話したいと思います。

 カンボジアに仏教が伝来して2000年。カンボジアは仏教を国教とする信仰心の厚い仏教国です。しかしながら約50年前、過激な共産主義を信奉するポルポト政権時代に仏教寺院はすべて閉鎖され、倉庫や拷問所や虐殺所となり、僧侶は全て還俗させられ、2割を超える僧侶が亡くなりました。仏像は破壊され、仏教書は捨てられ、カンボジアの宗教文化研究の中心であった仏教研究所も数万点の経典や貴重な文書が散逸し、壊滅的な打撃を受けました。

 そのカンボジア仏教の復興のために1993年から一食平和基金のご支援をいただき、仏教研究所を通じて数百タイトル数十万冊の仏教・文化図書を出版し、カンボジア全土の寺院に配布して参りました。さらに、開祖様の卒寿記念事業として仏教研究所本体の再建をご支援いただきました。

 私たちの使命はカンボジアの仏教と伝統文化の復興、発展に貢献する事です。皆様のご支援によって復活した仏教研究所は人々のためにこれからも様々な活動を展開して参りたいと思います。


<事業報告>

 一食平和基金と合同で、仏教研究所の活動を支援する「カンボジア仏教研究支援事業」をソクニー所長と協力して実施しているカンボジアの手束(てづか)です。

 1930年に開設された仏教研究所は仏教や伝統文化、文学等を研究・編集出版するカンボジア最大の宗教文化センターかつ図書館として歴史的な役割を担っていましたが、ポルポト政権下で徹底的に破壊されました。その後も内戦が続き、カンボジアの国の復興も東西冷戦が終結し、1993年の国連支援による総選挙、新政府の成立まで待たねばなりませんでした。

 その後、カンボジアは国際社会からの本格的な支援や外国からの投資も始まり、和平、戦後復興から開発、経済発展の時を迎えています。しかしながら、ポルポト政権時代にあまりに多くの知識人が亡くなったため、50年経った今でも宗教や伝統文化、教育、人材育成などはまだ復興途中と言えるかもしれません。

さて、本事業の中長期的な目的は、仏教研究所の基本方針、使命の下、同研究所がカンボジア国内の関連機関と協力してカンボジアの精神文化の復興および発展に貢献し、さらには海外の諸機関との交流、協力を通じて世界の精神文化の発展、平和に貢献することです。

第3期目(2022年~2025年)となる本年は、「宗教文化普及活動を促進し、自立に向けての組織基盤を強化する」ことを目的として、これまでの活動を継続、新しくE-Library活動を開始し、以下のような7つの活動に取り組んでいます。

 

1.カンプチヤ・ソリヤ出版活動

1926年に創刊されたカンボジアを代表する貴重な宗教文化定期刊行物「カンプチヤ・ソリヤ」(カンボジアの太陽)を復刊。年4回各1000冊を出版し、関係省庁、図書館、研究機関、寺院等に配布。


2. 古文書編集出版活動

宗教文化に関する古い文書を保管し、厳選して、編集出版(年2回各1000冊)、配布。

3.宗教文化講演会・研究出版活動

カンボジアの宗教文化に関する月例講演会を毎月開催。

4.図書館活動

図書を整備し、データ化を促進すると共に地方の寺院図書館活動を支援。

5.IT広報活動

ホームページ、フェイスブック、テレグラムなどを通じて仏教研究所の活動の普及。

6.活動環境整備、管理業務改善活動

仏教研究所の活動に必要な備品等の整備。

7.人材育成活動

職員の能力向上のための研修会、トレーニングの実施。

 なかでも、カンプチヤ・ソリヤや古文書の編集出版活動は、多くの知識人が亡くなり、地方の寺院に於いてもほとんどの宗教文化図書が失われたカンボジアにとって非常に重要で貴重なものです。

また月例宗教文化講演会も同じく重要な活動です。新型コロナの感染拡大を乗り越えてオンラインでの講演を継続しています。カンボジアの仏教と伝統文化の復興と発展を使命とする仏教研究所がこれからも多くの人々に宗教文化の素晴らしさを伝えるために、自立して活動を継続してゆけるように協力して参りたいと思います。