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息子を救ってくれてありがとう ファーティマさんからの手紙
Aug 15, 2025
ヤマンを栄養失調から救ってくれてありがとう
私はファーティマです。3人の子どもを持つシングルマザーです。
2023年10月、私は妊娠4か月でした。
ガザ市内に住んでいましたが、(イスラエル軍による)攻撃が始まって3日後、南のヌセイラートに避難しました。その後2回避難し、テント生活よりはましだと思って避難所である学校に身を寄せました。学校に避難して5か月後、ヤマンを出産しました。
生まれたばかりのヤマンはとても弱々しく、成長も思わしくありませんでした。悩んでいたところ、兄から子どもの栄養支援をしている団体のことを知り、診療所を訪れました。
診療所では、ヤマンの栄養スクリーニングをしてもらいました。すると、ヤマンが栄養失調になりかけているということが分かったのです。

簡易栄養スクリーニングの様子
栄養価の高いビスケットを受け取り、2週間ごとに診療所に通うことになりました。診療所でもらったビスケットや果物や野菜が取れるキットを食べさせるうちにヤマンの健康状態はとてもよくなりました。

栄養補助食品を食べるヤマンちゃん
さらにこの団体で行っている保護者向けの講習にも参加しました。母乳育児や健康についてのセッションはとても役立ちました。
ヤマンを栄養失調から救ってくれたことに深く感謝しています。

ファーティマさんとヤマンちゃん
<事業報告>
一食平和基金の支援を受け、パレスチナ・ガザにおける子どもの栄養に重点をおいた支援を実施した、日本国際ボランティアセンター(JVC)の高橋です。
イスラエル軍による陸海空からの激しく絶え間ない攻撃と地上作戦が継続されているガザでは、2023年10月以来、5万以上が死亡、その約30%が子どもです。7月2日現在ガザの85%の地域はイスラエル軍の管理下もしくは退避命令が出され、90%以上の人々が1回以上の避難を余儀なくされています。
さらに、3月初旬から支援物資がほぼ遮断され、食料、水、燃料、医薬品など生きるために必要なものがすべて枯渇しています。ガザにいる210万人が深刻な食糧不足で、UNICEF(国連児童基金)の報告では、毎日100人以上の子どもたちが栄養失調のために病院などで治療を受けています。
パートナー団体の活動地(避難所になった学校)
2024年度、JVCは2つの現地NGOと協働し、子どもと保護者向けの栄養支援、現金支援、医薬品や粉ミルクの配布を行いました。
2歳以下の子どもとその保護者および妊産婦むけの栄養支援では、ガザ中部の避難所を中心に、子どもの簡易栄養スクリーニング、栄養補助食品の配布、妊産婦や保護者向けの講習を行いました。
MUACテープという上腕の周囲を計測するテープを使用して栄養状態を確認し、高栄養のビスケットなどの栄養補助食品を配布しました。個別カウンセリングや定期的なフォローアップ、そして保護者向けに、緊急時の栄養や衛生に関する講習を実施しました。
2025年2月末までに、2,442名の子どもの栄養スクリーニングを実施し、1,627名の保護者や妊産婦へカウンセリングや講習を実施しています。

保護者と妊産婦向けの講習の様子
現金支援は2024年3月に引き続き2回目で、2024年6月~7月の期間、109世帯に各1,000NIS(270USD)配布しました。今回配布対象となったのは、2歳以下の子供がおり、世帯主が女性で、収入源がない等の条件を満たす世帯としました。現金給付により多くの家庭でミルクやオムツ、食料、医薬品を購入することができました。しかし、攻撃の長期化により手数料が高騰となったことや、上記の栄養支援を開始できることとなったため、現金給付は今回で休止することとなりました。
医薬品と粉ミルクの配布支援については、ガザ全域で活動する現地の医療団体と協働し、2024年度は2回の配布を行いました。1度目の配布ではガザ北部で乳幼児用の粉ミルク計4,055缶を配布しました。1回目の配布の後、現地NGOから医薬品のニーズについて相談があり、2回目の配布では粉ミルク1,700缶に加え、抗生物質や解熱剤、ビタミン剤など計4,456錠を配布することができました。これらの医薬品はガザの病院外の診療所で、提携団体に所属する医師の診察を経て必要な人に配布されました。
ガザの人道状況は日を追うごとに深刻さを増し、より一層の支援が求められています。JVCは現在も現地団体と共に、一人でも多くの人に支援が届くよう尽力しております。こうした支援はひとえに皆様からのあたたかいお力添えによって支えられています。
今後とも、JVCの活動に変わらぬご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。