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100周年を迎える仏教研究所―その復興と今後に向けて 宗教省仏教研究所ソクニー所長からの手紙
Apr 14, 2026
カンボジアは50年前のポルポト政権時代に仏教は徹底的に弾圧され、宗教文化研究の中心であった仏教研究所は壊滅的な打撃を受けました。
その復興のために、1993年から一食平和基金のご支援をいただき、数十万冊の仏教・文化図書を出版し、全土の寺院に配布して参りました。現在仏教寺院は5千カ寺、僧侶は7万人に上り、カンボジアの仏教は復興しました。
私は2015年に仏教研究所の所長に就任しましたが、定期刊行物「カンプチヤ・ソリヤ」などの出版・配布、図書館活動、広報活動などを継続するだけでなく、一般の人々にカンボジアの仏教と伝統文化を知ってもらいたいと思い、新しく月例講演会活動を始めました、幸い多くの方々の協力と理解を得ることができました。
さて、2030年に仏教研究所は創立100周年を迎えます。立正佼成会の皆様の温かいご支援によって仏教研究所は復活することができました。ご支援は昨年度で終了いたしましたが、いただいたご恩を忘れることなく、私たちの使命である「カンボジアの仏教と伝統文化の発展に貢献する」を守って、これからもカンボジアの人々のために様々な活動を展開して参りたいと思います。ありがとうございました。
仏教研究所 所長
ソー・ソクニー

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1930年に創設された仏教研究所は、カンボジア最大の宗教文化センターとしての歴史を担ってきましたが、ポル・ポト政権下で壊滅的な破壊を受けました。1993年から一食平和基金のご支援をいただき、仏教研究所を通じたカンボジアの仏教復興を進めてまいりました。また、2016年からは仏教研究所への新たな活動支援を実施し、2025年度は第3期の最終年度(延長年)として「自立に向けた組織基盤の強化」を最優先課題に掲げ、以下の7つの柱で活動を展開しました。
- カンプチヤ・ソリヤ出版活動: 「カンボジアの太陽」と称される伝統ある宗教文化の定期刊行物ですが、4回発行しました。計44本の記事(598ページ)を編纂し、仏教の階層構造や考古学的論文、国王陛下の伝記など、専門的かつ貴重な情報を記録・保存しました。
- 古文書編集出版活動: 散逸の危機にある資料のデジタル化を推進し、旧クメール・ルージュ領土の経典など83ページ分のUnicode入力を完了しました。また、第8回仏教文学賞では「現代技術と社会福祉」をテーマに39作品の優れた書き手を選出しました。
- 宗教文化講演会: 「15~17世紀のカンボジア史」から、現代的な「感情知能(EQ)」や「生成AIの活用」まで、伝統と現代を融合させたテーマで計10回の月例文化講演会を開催し、専門家と市民の対話の場を維持しました。
- 図書館活動: 年間1,460名の来館者(僧侶、学生、外国人等)を迎えました。また、地方の宗教局、寺院図書館やプノンペンの主要な図書館、関係者などに計13,416冊の図書を寄贈・配布しました。特に少数民族が多く住むモンドルキリ州やラタナキリ州の寺院図書館へ直接足を運び、学習資料を届けたことは、地方の教育環境を支える大きな成果となりました。
- IT広報活動: 長期間のシステム不具合を乗り越え、11月に公式サイトを再構築しました。Facebook等のSNSも活用し、13本の主要記事を発信することで、デジタル時代に即した情報普及に努めました。
- 活動環境整備、管理業務改善活動: 仏教研究所の活動に必要な備品等の整備をしました。また、経済・財政省との予算交渉に参加し、2026年度からの自立に向けた財政基盤の折衝を行いました。
- 人材育成活動: 全職員を対象に「生成AIによる生産性向上」や「チームビルディングのためのEQ研修」を実施し、限られたリソースの中で自律的に業務を遂行するスキルと組織力を養いました。
【成果と今後】 本年度の受益者は15,000名を超えました。機材や車両の不足といった課題はありますが、職員が私用車を出して地方調査を行うなど、自主的な姿勢が強まっています。2026年度からはいよいよ政府予算による全面的な自立運営へと移行し、2030年の創立100周年に向けて、カンボジアの仏教と伝統文化の発展に貢献する機関として新たな歩みを進めます。
バッタンバン州の仏教寺院学校
