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小児がんを乗り越え、27歳まで同じ病気の子どもたちの心を支えました~サブリーンからの手紙~
Jul 28, 2026
イラク南部の都市バスラは、イラク戦争で激しい戦闘が行われた地域です。地上戦では大量の劣化ウラン弾が使用されたとされ、現在も小児がんや白血病の発症率の高さが指摘されています。10歳の時に卵巣がんを患い、JIM-NETが支援した少女サブリーンも、そうした環境の中で病と闘いました。治療を乗り越えて寛解した後は、17歳から約10年にわたりJIM-NETの現地スタッフとして活動し、多くの患者や家族に寄り添いながら厚い信頼を集めていました。しかし2025年11月、体調不良を訴えてから数日後に急逝いたしました。享年27歳でした。誰よりも人の役に立つことに喜びを感じていたサブリーンが、治療を終えた後に綴った手紙をご紹介します。
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院内学級で活動するサブリーン(2023年)
【サブリーンからの手紙】
私は10歳の時にがんと診断され、手術と化学療法を受けました。病院では毎日のように多くの子どもたちが亡くなり、それは私の人生で最も辛い出来事でした。化学療法による痛みや食欲不振、免疫力の低下にも苦しみました。家族は私が死んでしまうのではないかと心配していました。
さらに辛かったのは、人々から死が近づいている子どもであるかのように見られたことでした。周囲には、がんは伝染する病気だと考える人もいて、私に近づこうとしませんでした。髪の毛が抜けたことで友達に笑われたこともありましたが、それでも私は強くなり、笑顔を見せるようになりました。
がんは再発しましたが、2010年にすべての治療を終え、病気に打ち勝ちました。私の体験や絵が、同じように病気と闘う子どもたちに少しでも笑顔を届けられたらうれしいです。私を支えてくれた医師たち、家族、JIM-NET、そして支援者の皆さんに心から感謝しています。
― サブリーン・アブドルザハラ

幼少期、治療中のサブリーン
≪後半事業報告≫
一食平和基金のご支援を受け、「イラクにおける白血病・小児がん支援」を実施したJIM-NETの長谷部です。
本事業は、イラク南部バスラにあるバスラ子ども病院を中心に、白血病や小児がんと闘う子どもたちとその家族を支えるため、貧困患者支援、院内学級支援、医薬品支援を行いました。
バスラはイラク戦争で激しい戦闘が行われた地域であり、小児がんや白血病の患者が多く報告されています。一方で、専門的な治療を受けられる医療機関は限られており、遠方から長時間かけて通院する家族も少なくありません。さらに2025年度は、地域情勢の不安定化による影響もあり、患者や家族にとって厳しい環境が続きました。
こうした中、JIM-NETは病院スタッフと連携し、治療に必要な医薬品の不足を補うとともに、病院内で子どもたちが安心して過ごせる環境づくりに取り組みました。院内学級には年間延べ2,242名の子どもたちが参加し、学習支援に加えて絵画や音楽などの活動を行いました。長期入院中の子どもたちにとって、病気だけに向き合うのではなく、自分らしさや将来への希望を取り戻す時間となっています。


院内学級の様子
また、保護者に対しては、治療や生活に関する相談対応や情報提供を実施しました。同じ経験を持つ家族同士が交流する機会も生まれ、孤立しがちな保護者を支える場としても機能しています。
貧困患者支援については、病院では対応できない医薬品の購入や交通費補助を行ってきましたが、2025年秋からは地元企業が支援を引き継ぐことになりました。外部からの支援だけでなく、地域社会が主体的に患者を支える仕組みが生まれたことは、大きな前進だと感じています。
今後JIM-NETは、院内学級支援と医薬品支援を継続するとともに、イラク北部クルド自治区アルビルでの貧困患者支援にも力を注いでいく予定です。子どもたちが安心して治療を受け、未来への希望を持ち続けられるよう、引き続き活動を続けてまいります。温かいご支援に心より感謝申し上げます。
