保健・医療・福祉 Health, Medical Care and Welfare

HIV AIDS・出生登録事業

聖エジディオ共同体

聖エジディオ共同体は、DREMセンターという医療施設を開設し、血液検査や栄養改善、カウンセリングなどの総合的な治療を無料で実施しています。特に、母子感染予防に力を注ぎ、現在では99%の子どもがHIVに感染することなく誕生することができるようになりました。
また、行政と連携して子どもの出生登録活動も行っています。親が出生登録をしない背景に、出生登録の重要性についての知識不足や文字の読み書きができないこと、登録所までの距離が遠いことなどがあるため、地域での説明会や家庭訪問を行い、親の理解と安心を得られるよう努めています。

背景

マラウイは1980年代からHIV/AIDSの蔓延に悩まされてきました。政府の努力もあり、近年では感染者は大幅に減少、エイズによる死者も2004年の76,000人から2018年には17,000人に減少しました。しかし、現在でも年間23,900人の新規感染が確認され、国内にはエイズによる孤児が約35万人いると言われています。

こうした状況の背景には貧困や保健・医療体制の脆弱さがあります。WHO(世界保健機関)は、人口1万人当たり最低でも23人の医師が必要だと述べていますが、マラウイには1万人に対して19人しかいません。病院の数も限られており、病院で診察や治療を受けるお金も、病院に行くための交通費も出せない人々がたくさんいます。

また、こうした状況は子どもの出生登録にも影響を与えています。出生登録は、この世界にその子が存在することを法的に証明する基本的で大事なものです。登録されていない子どもは、教育や保健ケア、社会保障といったサービスから取り残され、人身売買や子ども兵、児童婚の危険にさらされる可能性が高くなります。

マラウイにおけるHIV/AIDSの感染予防・治療ならびに出生登録の推進のために、一食平和基金は聖エジディオ共同体との合同事業を行っています。

受益者の声

パセム・カウォンガさん

パセム・カウォンガさん(コーディネーター)

DREAMは2005年8月に開始されて以来、HIVに感染した多くの人々を支援してきました。HIVに感染した多くの女性は、生まれてくる子どもがHIVに感染しないためにはどうすればよいかを何度も相談してきました。彼女たちは、HIV陰性の赤ちゃんを産むことができると聞くと必ず驚きます。このことは、いまだにそれが不可能だと思っている他の女性や人々にも知れ渡るように、コミュニティでの意識をより高めていく必要があるということを示しています。DREAMに大変感謝していますが、現在ではHIVだけでなくその他の非感染性疾患にも焦点を当てたDREAM2.0も開始されています。とりわけ、私たちはDREAMの全体的アプローチと、HIV/AIDSに感染した人々を愛と慈悲をもって継続的に治療を行ってくれていることに感謝しています。