一食ブログBlog

野菜を栽培して食べられるようになりました。サントスさんとアレハンドロくんからの手紙

Sep 30, 2024

私の名前はサントス・トマサ・ヘルナンデスです。この事業を実施してくれた、アムダマインズとGGUIA(グルーポ・ギア:現地提携団体)そして一食平和基金の皆様に感謝したいと思います。1年にわたる研修を受けることによって、様々なことを学ぶことができました。例えば、私たちの土地を化学的なもので汚さず、身の回りにある自然なもので肥やし、そこで育てた作物を食べることが自分と家族の健康につながることなどです。自宅や近所の菜園の作物が食べられてしまわないよう、鶏を囲うための金網を支援いただいたことにも感謝しております。また、余った作物を売って、現金収入を得ることもできました。皆様のご多幸をお祈りしております。

(サントスさん)

僕の名前はアレハンドロ・ブリセーニョ、中学2年生です。一食平和基金にご支援いただき、アムダマインズとGGUIAによって実施されたプロジェクトに参加することができてとても嬉しいです。自分たちで畝を作り、そこでオーガニックな手法で栽培した野菜を食べるのは初めての経験でした。先生と同学年のみんなが協力して作業できたことがとても楽しかったです。皆様、本当にどうもありがとうございました。

(アレハンドロくん)


一食平和基金のご支援を受け、「家庭菜園を通じた栄養改善プロジェクト」を実施した特定非営利活動法人AMDA社会開発機構(アムダマインズ)の山田留美子です。一食平和基金の皆様、いつも温かいご支援をいただき誠にありがとうございます。

 中米に位置するホンジュラス共和国は中南米・カリブ地域でハイチに次ぐ最貧国で、貧困率は約6割、人口の15%が国際貧困ライン(1人あたり11.9米ドル)以下で暮らしています。貧困は国民の栄養状態にも影響を及ぼしており、全人口に占める低栄養の割合は15.3%、5歳未満の栄養不良児の割合も19.9%と、中南米地域平均値よりも高くなっています。一方、糖分・油分の摂り過ぎと、野菜・果物の摂取の少なさによる肥満は増加傾向にあり、人口の約23%が高血圧、約7%が糖尿病とされています。このような状況を改善するために、乾燥地帯に位置し、貧困度の高いエル・パライソ県の4市において、住民が、家庭や学校で不足している野菜・果物を栽培し、栄養バランスの良い食生活を実践できるよう、以下のような活動を実施しました。

 化学肥料や農薬を極力使用せず、自然環境を生かした取り組みであるため、生産者側にも相応の努力が求められること、学んだ技術は村の仲間にも共有し、プロジェクト終了後も自分たちで菜園を続けるべきことなどを、まず事業開始時に説明しました。賛同と意欲を示した88世帯(396人)に、傾斜地における段々畑や大雨の際の水路設置、狭小地における空中菜園など、土地の状態に合わせた菜園の設置方法を提案しました。また、野菜・果物の植え方(種の多様化の重要性や組み合わせ、畝立て、間隔、穴の深さなど)や育て方(水・肥料を与えるタイミング、支柱やつる棚、剪定など)に加え、枯葉、灰、家畜のフン、作物残渣など、地元で入手できる自然素材を活用した堆肥・液肥づくり、家庭用洗剤や植物などを利用した除虫剤の作り方も共有しました。

(自然素材を使った除虫剤の作り方の研修)


さらに、食物に含まれる栄養素と健康との関係、塩分・糖分・油分の過剰摂取によるリスクなどについて考える機会を提供する栄養教室、家庭菜園で収穫した作物を使った料理教室(青パパイヤサラダ、ビーツ入りトルティーヤ、キャッサバのエンパナーダ、バナナやサツマイモ入りパン、豆粥、胡麻入りジュース、ハイビスカスジュースなど)を実施しました。

(収穫物を使った料理教室)

その結果、参加者の菜園では、終了時には平均25種類もの野菜・果物を栽培し、レシピについては平均4種類、多い世帯で13種類も新たに習得しました。また、小・中・高等学校8校においても、学校菜園を実施し、収穫物を調理して431人の生徒・児童が給食で栽培した野菜を食べることができました。参加した88世帯と8校は、事業で学んだ栽培方法を実践しつつ、新たなレシピで食卓を改善できたことがモチベーションともなり、各世帯の状況に合わせた菜園を継続し、近隣の人たちに広めていくことにとても意欲的です。

(中学生がみんなで畝を作る様子)