一食ブログBlog

すべての人が医療サービスを受けられますように

Oct 30, 2023

 一食平和基金と合同で、「スワスト・セバ(立正佼成会メディカルサービス)」を実施しているNGO法人立正佼成会バングラデシュのオヌズ・ボルアです。
 バングラデシュにおける保健衛生環境は劣悪であり、遠隔地に住む人々は保健衛生分野のサービスを十分に受けられていない状態です。彼らの中には無資格で保健サービスを施す人たちによる誤った処置や医療ミスを被っている人もいます。ほとんどの人が、有資格の人たちに診てもらうための治療費を払えるほどの余裕がありません。このような状況を考慮して、私たちは貧しい人々の家の近くでの無料による医療サービスを実施しています。
 バングラデシュの医師や医療スタッフの数は日本に比べるとかなり少なく、2020年のデータで、医師の数は日本が人口10,000人あたり25.7人に対しバングラデシュは6.67人、看護師・助産師では日本が人口10,000人あたり131.5人に対してバングラデシュは4.89人ととても少ない状態です。ダッカ市のいくつかの病院では最新設備を導入して先進的治療が施行されていますが、心筋梗塞、脳梗塞、多発性外傷などの重症疾患では看護スタッフの少なさから継続的で詳細な患者観察は望むべくもなく、24時間体制で対応できる医療機関は極めて少ないのが現状です。また、医薬品は市中の薬局で購入できますが、高温多湿の中で保管されることで品質劣化や有効期限切れのものも少なくありません。
 私たちは主に下記の四つの目的で活動を行っています。
1. 貧困層の人々に医療サービスを無償で提供すること。
2. 貧困層の人々の保健衛生に関する問題意識を喚起すること。
3. 応急手当の訓練をボランティアに行うこと。
4. 医療科学の適応指導のための医療雑誌の発刊。

 具体的には毎週金曜日の無料診察やセミナーをチッタゴンにある立正佼成会バングラデシュ教会で行っており、遠隔地、例えばダッカの郊外やコックスバザールにおいては無料医療キャンプ、セミナー、応急処置プログラム、血液型・血糖値検査、任意による献血、医療雑誌の発刊などの活動を行っております。
年間延べ3,500人ほどの方々が診察やセミナーを受けています。

2022年12月16日 バンドルバン県ナイッカンチョリ地区ロイトリ村での様子です。
この日の受診者は250名(医者は6名)でした。

名前:ジョナキ・チャクマ:
年齢:61歳  性別:女性
 私はこの健康管理を受けてとても嬉しく思います。これらの重要な医師のサービスを受けることは非常に困難です。私たちの村に来て、彼らのサービスを手伝ってくれた主催者と医師の方たちに心から感謝します。これからも宜しくお願い致します。

2023年4月7日 チッタゴン県ラウジャン地区モッドンビナジュリ村での様子です。
この日の受診者は450名(医者は12名)でした。

Sheuli Barua(34)F
シウーリ・ボルア(34歳)女
 私の村で佼成メディカル・サービスの医療キャンプに立派な先生に自分の病気について相談できて大変嬉しく思います。主人に何回か個人の病気について病院に連れて行ってもらいたかったのですが、大変貧しくて中々行く事が出来ませんでした。先生に治療して頂き、薬も頂いて大変有難かったです。

Manash Barua (68) M
マノシュ・ボルア(68歳)男
 私は足の病気で3ヵ月前から大変苦し日々を送ってきました。今回は佼成メディカル・サービスの医療キャンプのお陰で先生に相談することが出来ました。私は足の事で大変心配してきましたが前より良くなっていることが何よりです。

Babul Barua (75)M
 私は住んでいる家から病院が遠くて毎回行くことが大変難しいです。今回は家の近くにキャンプでお医者さんに治療して頂いて助かりました。孫に連れて行ってもらい身近に治療出来て嬉しかったです。日本国民のお布施のお陰様で医療キャンプが実施出来て何より幸せです。感謝の気持ちで胸がいっぱいです。本当にありがとうございました。

 2021年6月、このプロジェクトの中心人物でありましたトルン博士がお亡くなりになりましたが、他の医師の方々からこのプロジェクトを絶やしてはいけないという声があがり、三人の先生方が事務局長やその他の重責を担って下さることになりました。
 改めてこのプロジェクトが今のバングラデシュには必要なこと、そして、その必要性を理解して下さる医師の輪が確実に広がっていることを感じました。
 トルン博士の夢は貧困者のための総合病院を建てることでした。トルン博士と同じ夢をもつ医師やボランティアそして貧困層の人々にも輪を広め、これから何十年かかろうともその灯にむかって歩んでいきたいと思います。
 一食平和基金に協力して下さっている日本のみなさんに心からお礼を申し上げます。また、この活動を通してバングラデシュにおいても一食の精神(同悲、祈り、布施)を広めていきたいと思います。ありがとうございます。