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☆ユースとピース☆困難を乗り越える青年たちという希望(パキスタン)

Oct 11, 2021

 一食平和基金では、パキスタンにおいて青少年の地域平和活動とアフガニスタンとの連帯に取り組んでいる、一般社団法人平和村ユナイテッドの活動を支援いたしました。今回のブログでは、団体の代表からのご報告をお届けします。

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 「平和にユナイト!パキスタンにおける青少年の地域平和活動とアフガニスタンとの連帯」の活動を実施している平和村ユナイテッドの小野山です。いただいておりますご支援に心より感謝申し上げます。困難を乗り越える青年たちという希望。パキスタンでの活動についてご報告いたします。

◆ 文明の交差点…しかしそこには紛争と暴力が…そして平和の活動

 ペシャワール…パキスタンの私たちの活動地です。アフガニスタンとの国境沿いの拠点都市で、様ざまな文明が行き交ってきた文明の交差点です。しかし、この国境地域一体は、紛争と暴力に苦しんできました。活動関係者の中にも、同じ地域の人や大事な人を殺害された、日常的に爆発が起こるなどして恐怖の中で暮らしてきた、襲撃に逃げた経験がある、精神的な影響を受けているといった人もいます。

 この地域一体で、それぞれの政府や米軍と様ざまな武装勢力、また武装勢力間といった形で戦闘が続いてきたのです。市民も犠牲となり、復讐、暴力、過激主義の連鎖にもつながっています。青少年層はこうした影響を受けやすく、自爆攻撃の大多数が青少年によって行われているともいわれます。

 そこで、当団体では、現地パートナー団体とともに、青少年が平和活動について学び合い、さらに、地域の平和活動を立案・実施する活動、また国境を超えて地域全体で平和をつくるための両国間の連帯の活動を行っています。

◆ 青年たちとの「出会い」

 活動に参加する青年たちは、個人的背景などを考慮しながら、青年自身を含む地域の人びとほかとの話し合いも経て決まります。

 参加が決まった青年たちは、まず、平和活動の学び合いを行います。地域の具体的な争い事例も取り上げ、問題の分析や平和の取り組みなどにつき、グループワーク、発表などを行います。取り上げられる問題は、宗派間紛争、宗教に関連した大学での暴行・虐殺事件、地域での殺人、土地や水をめぐる争い、女性の権利侵害、少女のレイプと殺害事件といった、極めて深刻な問題です。

 活動地訪問は安全管理の観点からも容易ではない中、私もオンラインで参加しました。真剣に相手の話に聞き入る様、熱心な議論…切迫した問題なのがよく分かります。議論の合間に話しかけると、にっこり笑ってステキな青年たち。困難を乗り越えて平和の活動を行う青年たちがいることを実感します。青年たちのこうした活動を強くサポートする必要があります。

◆ ピースアクション!

 平和の学び合いを経て、青年たちは地域の平和活動を立案・実施します。これまで行われた35のアクションの中から、いくつかご紹介します。

◎銃ではなく教育を!

 「息子たちは銃である」…何という表現でしょうか…銃の所持が普通になされている地域。こうした表現も使われるとのこと。家族間、土地、民族に関わる争いごとで、常に危険を感じるため、身を守るために銃を使用する、男性の力があることで相手方に圧力をかけることができるといいます。貧困地域でもあり、ほとんどの子どもたちが児童労働に従事しているそうです。こうした状況から、青年たちは、「銃ではなく教育を!」という地域での話し合いのアクションを実施!銃の違法性、教育の必要性、紛争に苦しんできた地域に導入された無償教育制度の説明などが切々と語られました。子どもを学校に行かせるようにすると、その場で約束する人もいたそうです!

 実は当日、この地域のある兄弟で土地をめぐる争いが深刻化し、まさにその時、緊張状態にあったそうです。青年の一人は、これはある意味チャンスだと考え、用意していた平和のメッセージを長老たちに一生懸命伝えたところ、長老たちはそれを聞いたのちに、兄弟のところにおもむき、見事に二人を説得して争いを収めたそうです!この青年は、この実体験がうれしかったことで、自信につながったと語っています!

身のまわりの争いで常に感じる危険から所持される銃…地域の人たちとの話し合いを実施!争いの解決にも!

◎ピース☆キッズ☆ユース!

 様々な事情から養護施設で暮らす、多感な子どもたち…様ざまなリスクにさらされやすいとも…そこで青年たちは、SNSの平和的でポジティブな利用や、過激思想による悪用がよくないことなどを伝えました!椅子取りゲームで楽しい時間も!子どもたちに寄り添います!女性たちの活動に様々な制限がある環境の中、青年女性が主導!

養護施設で暮らす多感な子どもたち…様ざまなリスクにさらされやすいとも…子どもたちに寄り添う!

◎女性への心理的なサポート!

 紛争や避難生活により、人びとは心理的な影響も強く受けます。激しい紛争と暴力に直面した地域の出身者からの要請もあり、この問題の議論を行うアクションを実施。心理的な問題の原因として、虐待、不妊、結婚の仕組みのあり方、権利や行動制限、感情表現の場の欠如、家族に関連する問題、病気などに関わることが提起されました。問題や感情の共有のため人びとをつなぎ合うこと、問題の意識喚起を行うことも訴えられました。参加者の中には、問題を他の適切な主体に託す仕組みも作っていることを共有してくれる人もいました!

激しい紛争・暴力に直面した地域出身の女性たちも…問題・感情共有の必要性、なされるべきことなど議論!

◆ 困難を乗り越える青年たちという希望

 厳しい治安状況の中、青年たちは様ざまな困難を乗り越えて活動しています。上記のように、青年の1人は、活動の成功体験がうれしかったことで、自信につながったと語っています。できることをする、そしてそれがまた次にできることにつながる。今後とも、現地の仲間たち、青年たちとともに、平和の活動を続けてまいります。

以上