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戦闘で親を亡くした子どもたちに平和を!この子どもたちが他の人たちの心を変えることができる(アフガニスタン)

May 30, 2022

一食平和基金さまのご支援をいただき、「アフガニスタン緊急-戦闘で親を亡くした子どもたちに平和を!」の緊急活動を実施いたしました平和村ユナイテッドの小野山です。ご支援に、心より感謝申し上げます。活動についてご報告いたします。

 

◆そこにある危機。暴力、復讐、その連鎖、人道危機…

過酷…なんと過酷な。暗殺、巻き添え、戦闘、銃撃、自爆攻撃…私たちの活動に参加している子どもたちは、こうした状況で父親を失っています。父親は、敵対関係にあった様ざまな主体・勢力の戦闘員・構成員や、一般市民を含んでいます。負っている心の傷はあまりに深く、はかりしれません。

 数十年にもわたり紛争下にあるアフガニスタン。長年の紛争による武力への依存や暴力が身近にある環境は、紛争の結果とも原因ともいわれます。そして、暴力や復讐、その連鎖が続いてきました。何になりたいか聞かれて、爆発物による攻撃で失った父親の復讐を語る兄弟がいました。実際に、復讐心から戦闘に向かう人も多いのです。  そして、米軍など外国軍の完全撤退を前に、タリバンは急速に勢力を拡大、ほぼ全土を支配下に置きました。状況は依然、不安定で、様ざまな武装勢力、抵抗勢力も存在し、戦っていた者同士がともに住み暮らすことになる中で、復讐や暴力もすでに起こり、市民によるデモ、それへの発砲事件も起こっています。また、恒常的にあった人道危機は、今回の急変によって極めて深刻なものとなっています。

 

◆戦闘で親を亡くした子どもたちのストーリー

戦闘で親を亡くした子どもたちは、その特別な事情、置かれた環境から、上記のような状況の影響を最も受けているといっても過言ではありません。社会にある暴力や生活困窮から守り、平和な暮らしをしてもらえるようにし、またそれを通じて、暴力やその連鎖がある環境自体をなくし、平和をつくっていく必要があります。そこで、緊急活動として、150人の子どもたちに、食料費配布と、平和教育・一般教育・精神的サポートなどを行なう「ピースセンター」の運営を行うことといたしました。冒頭記述のように、この子どもたちの父親は、敵対関係にあった様ざまな主体・勢力の戦闘員・構成員や、一般市民を含んでいます。

 

子どもたちはみな、とても過酷な状況に直面してきています。以下、子どもたちのストーリーです。

◎ザビ(仮名):自分たちのお父さんを奪い、自分たちを戦争遺児にして、貧しさに影響を与え、土地を破壊したのは戦争だ。誰が戦争に関わっていたか、決して忘れない。どうしてお父さんを殺したのか、自分は聞くことはできないかもしれないけれど、なぜ理由もなく殺したのかと、アッラーが聞いてくださると信じている。

◎ジャヴィド(仮名)のお父さんはお店を持っていました。あるとき、ある武装したグループがお店に入ってきて、氷を求めました。断食月ラマダンのことでした。お父さんは、氷はちょうどなくなったところで、隣のお店で探せるかもしれませんと答えました。しかし、探し回りましたが、見つけることはできませんでした。この人たちは怒り、お父さんを撃ちました。お父さんはその場で亡くなりました。家族は困難な状況で暮らしています。大家族に食べ物を持ってきてくれる人はいません。ジャヴィドはピースセンターに通っており、お母さんとほか7人の家族はこの活動で配布される食料費で支えられています。

◎サイード(仮名)は9歳。結婚式に参加していたお父さんを自爆攻撃により亡くしました。たくさんの人が死傷しました。6人の家族がいます。親戚に助けを求めていますが、1日や2日のことではないので、定期的に助けを得ることはできません。親戚やお店から借金をして回っていますが、返す手段もないといいます。通常、父親が家族を支えていて、遺児が大家族を支えるのは難しく、女性は家の外で働く機会はないといいます。

◎ナジーブ(仮名)は12歳。一般の村人だったお父さんですが、志願して武器や装備を得て戦い、戦闘中に亡くなりました。家族は借金をしていますが、もうこれ以上は貸してもらえないといいます。14歳の兄が山に行き薪を集めてロバで運ぶなどしてくれています。山は遠く、暗いうちに起きなければなりません。お父さんが恋しいと話しています。

◎ハミッド(仮名)のお父さんはある勢力により数年前に殺害されました。ハミッドはこう話します。ピースセンターから戻ったらお母さんを助けています。お母さんはお父さんが亡くなってからとても苦しんでいる。お父さんが恋しい、お父さんは優しくしてくれて、いつも贈り物をくれた。

◎バリヤール(仮名):ピースセンターに来れてとてもラッキーです。食料費にとても助けられているし、これまで経験したことがない愛を受けているからです。センターに来る前は、飢え、貧しさ、戦争そのもの、お父さんの死、それから、遺児だからと嘲られるのを経験した。今、とても幸せです。お金をもらったらお母さんに渡します。家に十分な食べ物があり、とても幸せです。サポートがしばらく続いてほしいと思っています。

 

◆ピースセンターでの様子

センターの先生たち、現地パートナー団体のスタッフ、地域の人たち、関係者はみな、子どもたちに寄り添おうと試行錯誤しています。

子どもたちは、面白い話をして笑わせようとしても笑わない、十分な集中力がない、センターでの活動や、時間通りに起きる、他の子どもたちと遊ぶ、学校に行くなどの日常の活動にあまり関心を示さない、といったこともあるとのことです。小さなことにも大きなリアクションをするということもあるようで、先生の後にレッスンを繰り返してもらうよう、ある子どもに立ってもらおうと思ったところ、こんな所には来ない方がましだと言い、汚い言葉を使ったそうです。先生たちは、子どもたちに能動的に学んでもらえるよう、子どもたちに何かを言うように時間やきっかけを与えたり、立って答えてもらったり、白板のところに来てもらったりしているそうです。また、詩をよむ、絵を描く、様ざまな身体的な活動やゲームを行うなどしています。

センターに行くのを楽しみにし、将来の夢について考え出した子どももいるとのことです!文房具を子どもたちに配っていた時のストーリー。ある子どもがうれしさから、勉強したい!といって踊りだしたそうです!車の中からこれに気づいた運転手さんが報告してくれました!

②「ピースセンター!」平和教育、一般教育、精神的なサポートなどで子どもたちに寄り添う

「ピースセンター!」平和教育、一般教育、精神的なサポートなどで子どもたちに寄り添う

 

◆この子どもたちが他の人たちの心を変えることができる

この活動の現地パートナー団体YVO(Your Voice Organization)の代表サビルラさんが語ってくれた言葉があります。ご紹介いたします。

「今回の活動に参加する150名の子どもたちが他の人たちの心を変えることができると信じています。この子どもたちが他の人たちにとってシンボルになりうるのです」

この活動が子どもたちを支えるというだけではなく、この子どもたち自身が他の人たちを変えるのだと。この子どもたち自身が主役だと。みなが主役。当たり前のことですが、何とすごい言葉。そして、サビルラさんは、自身、かつて武力を信奉していたものの、NGOとの出会いにより、武力ではない物事の解決方法があること、平和のために自分自身にできることがあるという気づきを得て、当団体と実施する平和活動の原型を開始した本人です。だからこその力強いメッセージ! (ビデオメッセージはこちら!→ https://bit.ly/3DyPI0D

①戦闘で親を亡くした子どもたちに平和を!.

戦闘で親を亡くした子どもたちに平和を!

③笑顔!食料費配布時の様子

笑顔!食料費配布時の様子

 

厳しい現実ですが、平和をつくろうとする多くの人たちがいます。みな、一人ではありません。お力をいただいている皆さま、現地の仲間たち、子どもたちとともに、引き続き、平和をつくってまいります!ユナイト!