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福島の原子力災害考証館furusatoを訪ねて

Jan 14, 2022

一食を捧げる運動では、皆さまの一食献金を東日本大震災の復興支援として被災地へ届けてきました。2021年も引き続き、一食福島復興・被災者支援事業を、うつくしまNPOネットワークのご協力のもと実施しました。20211215日に、一食事務局スタッフが福島を訪れ、支援を受けた団体の取り組みについてお話を伺ってきました。

今回視察を受け入れてくださったのは、原子力災害考証館furusato運営委員会の皆さまでした。原子力災害考証館(以下、考証館)は、未曽有の被害をもたらした原子力災害について、その背景や原因も含めて整理・記録しつつ、草の根の人々の問題解決のための取り組みを伝え、一人ひとりが問いに向き合うことを目指し設立されました。有志の方々がお仕事もされながら、水俣の歴史考証館などの取り組みを学び、作ってこられたものです。

館長である里見さんのお話を聞かせていただき、考証館を訪れる方が思いや問いを深めることのできる場所にすることを大切にされているお姿が、特に心に残りました。震災や原子力災害について関心をもたれた方が考証館を訪れ、1時間でも2時間でも、思いを語られる。日常では原子力災害のことを話す場がない方々にとって、考証館が考えるきっかけになり、さらには思いを吐き出せる場所にもなっているそうです。また考証館だけが特別な場所ではなく、自宅の一室であっても、ご自身の持ち物や資料を置くことで、考え、語らい、伝えていく場所を誰でも作ることができる、とも話されていました。

私は、3.11後の震災復興ボランティアに参加することで、東北にご縁をいただきました。昨年、当時の出会いを思い出し、思いがあふれて誰かに聞いてほしくなったことがありました。誰に話せばいいのかわからないようなことでしたが、知人に話を聞いてもらえると、心が軽くなりました。私自身は特別な場所も持っておらず、特別な人でもないのですが、周りの方と思いや問いを交わし合い、深めることが私にもできるのではないか。今回の訪問では、考証館の里見さんの思いと願いが、私の心にも宿ったように感じました。

 

考証館は、旅館のひと間にある。


中の様子。中央の展示は、次女を亡くされたご遺族の方が、大切な遺品や写真、捜索の経過が分かる資料を提供。流木も手ずから配置されている。